少し前に北海道でロケをしてきた。
北海道の絶景やアクティビティ、ダチョウリポートをし、最後は辺境クライミングという名の下、高さ40メートルの滝をクライミングしてきた。
出産後復帰して二回目のロケにて、なかなかハードではあったが、久しぶりの濃いガチガチの自然に、気がつけばテンションが上がっている自分がいた。
そして自分自身のある変化に気づいた。
今までクライミングするとき、どちらかというと後ろ向きな気持ちから始まり、登っている最中も怒りがこみ上げてきて、その怒りをエネルギーにして、なんとか一歩踏み出すという感じであった。
結果、登れば景色は綺麗だし、達成感はあるし、登って良かったと思う。
これが今までは、私のクライミングにおける王道のルーティーンだったのだが、今回は違った。
なんだか気持ちが穏やかで、怒りというよりまさかの楽しみながら登ることができたのだ。
これには、自分でもびっくりした。
もちろん、2年ぶりのクライミングで、天気も最高だったという条件もあるだろう。
にしても、何が違ったのか。
よく、出産すると人が変わるというけど、そういうことなのか。
いや、それだけではないと思う。
今回のロケは、小野寺ディレクター通称「サムライ」と一緒であった。
サムライとは番組に出始めた頃からの付き合いで、もう15年になる。
このサムライディレクターが曲者で、愛称はサムライだが、実際の所、全然サムライじゃないのだ。
ネガティブなところがあり、少しでも飛行機が遅れたりするだけで、この世の終わりみたいな空気になり、たとえば、天候で予定していたロケができなかった日などは、晩ご飯にも来ず、部屋に籠もるのだ。
なもので、こちらも1回のロケに何度もイライラしてしまう。
結果、それが面白おかしく描かれるので、オーライっちゃオーライなのだが・・・。
それがどうしたことか、今回の北海道ロケでは、イライラが一度もないではないか。
私が穏やかになった説もあるが、一番はサムライの変化だと思う。
一つロケが終わるたびに
「良かった、面白かった」
と声かけをしてくれ、晩ご飯では
「今日も皆さんのおかげで、いい映像が撮れました。明日も頑張りましょう! 乾杯!」
と音頭までとり、もはや別人なのだ。
ディレクターというロケの長が前向きなので、隊全体としても活気づく。
結果、私自身、前向きに楽しみながら、クライミングできた。
もちろん、私が変わった部分もあると思うけど、サムライもまたかなり変わっていた。
こうやって、お互い変化を繰り返し、進化できたら、最高だと思う。
と言いながら、次にクライミングするときは、怒りに身を任せ、登っているかもしれない。
それはそれで、またいいか。