だいぶ前にはなるが、「あさイチ」のロケで憧れの料理研究家「有元葉子さん」とお会いすることができた。
このコラムや本棚紹介の動画でも有元さんの著書を紹介させてもらっていたので、会う前からワクワクとドキドキが入り交じっていた。
実際にお会いすると、思っていた以上に穏やかかつ凜とされ、美しかった。
料理を教わるときも、手際ももちろんのこと、有元さんは発する言葉がとても綺麗で、惚れ惚れしていた。
「キャベツはこうやって水につけて、養生しておくと・・・」
なかなか聞き慣れない言葉に頭をフル回転させていた。
なんだか、遠い異国の貴族の方に触れているような感覚にぽーっとしていた。
ところがである。
しっかりと水分をすわせたキャベツを炒めるとき、これまたしっかり熱した鉄のフライパンにたっぷり油をひき、そこに水分たっぷりのキャベツをぶち込んだのだ。
そばにいたわたしは、そのとんでもない音量のジュワーにたまげて、よけてしまった。
そして、予想通り、めちゃめちゃ油がはねている。
絶対に熱い。
ところが、有元さんを見ると、平然とキャベツを炒めているではないか。
どう見ても手に油が当たっていそうに見えるが、なんのリアクションもせず、淡々と炒めている。
わたしはふと、昔タイで素手で唐揚げを揚げていたおじさんを思い出した。
怒られるかもしれないが、一瞬二人の姿が重なって見えたのだ。
それくらい豪快だった。
穏やかで丁寧なマダム像とのギャップにやられた。
これぞギャップ萌である。
そして、優しい口調で
「どうぞ召し上がってください」
と言われ、食べたキャベツ炒めは、キャベツの甘みが最大限に引き出され、今まで食べたキャベツ炒めで一番美味しかった。