以前コラムに書いた息子と水族館に行ったお話。
あのときは、全く魚には見向きもせず、ひたすら私の洋服のチャックをイジイジしていた。
そもそも魚に興味がないのか、まだ早すぎたのか、人が多くて集中できなかったのか。
さまざまな要因はあるが、しばし水族館はやめようかなと思っていた。
ところが、いつも息子のお世話をしてくださっている友人の母が、今、銀座で金魚の展覧会をしているので、息子に見せてあげたいとのこと。
しかも、その方が相当な金魚好きということで、3人で金魚展に参戦することになった。
今回はどうかなぁ、興味をもってくれるかなぁ、と少し不安な気持ちで足を踏み入れたのだが、入った瞬間、息子がどうのこうのの前に、わたし自身がズキューンと心を持っていかれた。
まず、想像していた金魚ではなかった。
わたしの中の金魚といえば、夏祭りですくって、袋に入れて持って帰り、慌てて水槽を出して入れ、鑑賞するあの感じであった。
しかし、目の前の金魚は、薄暗い会場でライトアップされ、筒型、滝のような壁型の水槽の中で泳いでいる、もはやアートなのだ。
金魚の種類もとんでもなく尾びれを長くなびかせているものや、おでこが大きいもの、見たことのない金魚たちが、ショータイムを繰り広げている。
こんなに進化していたとは、知らなかった。
一旦、息子を忘れ、金魚の世界を満喫した。
しかも、隣には金魚博士もいるのだ。
一緒に行ったその方は、さすが金魚好き。
全ての種類の名前を説明してくれ、「この色を出すには餌やりから計算して育てるんや」といったことを解説してくれる。
他のお客さんもその見事な解説に聞き入っていた。
そんなこんなで、母的には大満足の金魚展だったのだが、肝心の息子である。
ふと息子を見ると。
めちゃめちゃ食いついているではないか。
しっかりと目で金魚を追って、自分なりに楽しんでいる。
こうやってちょっとずつサイズを大きくしていって、イルカやアザラシ、最終的にはジンベイザメと一緒に泳げるくらいまでいけたら良いな、と妄想する帰り道でした。