ラグジュアリーバス

先日、番組のロケで、人生初のラグジュアリーバスとやらを体験させてもらった。


巨大な黒塗りの大型バスで
座席はわずか10席ほど

もはや、バスというよりは、飛行機のファーストクラスのような出で立ちである。

シートは信じられないくらい倒れるが、その広さゆえ、後ろの方に気を遣うことなく、存分に倒せる。

座ると、目の前にはそれぞれにモニターが付いており、飽きることなく、移動を楽しめる。

圧巻なのが、車窓。
全ての景色を見渡せる大きな窓で、その土地の様子を堪能できる。


あまりの豪華さに、初めは緊張して席を倒すことすら躊躇していたが、人間というのは恐ろしい生き物だ。

海老名サービスエリアに着く頃には、もう何年も前からこのバスで送り迎えされていたかのような馴染み具合。
もはや、このバス以外は身体が受け付けません状態。


完全に、ラグジュアリーバスに慣れてしまったのだ。

人は良いものにはすぐに慣れてしまう。
そしてそれが当たり前になってしまう。

たった1日ではあるが、夕方には、私はラグジュアリーバスが当たり前になってしまったのだ。

こうなると大変なのは帰り道である。

帰りは、もちろんいつものロケバス。


今までは何も思わなかったのに、1日ラグジュアリーバスに慣れてしまったもんだから、ロケバスに乗った瞬間、文句しか出てこなかった。

「座席が狭い」だの
「シートが倒れない」だの
止まらない。


けれども、30分後には、自分の中のベストポジションを見つけ、快適にくつろいでいた。


結局のところ、乗れば都なのだ。


秘境のロケや登山で泊まるロッジやテントにも同じことが言える。

最初は
まじか、これは厳しい、無理かも
と思うのだか、結果、1日泊まればその環境に慣れる。

大切なのは
「順応力」

そして、ありがたいことに、人間にはその能力が備わっていると思う。


ラグジュアリーバスを体験して
いつものロケバスで帰りながら
そんなことを思った1日だった。

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