人間ドック

気がつけば37歳。

今年の目標に脱年齢と掲げたものの、やはり自分の健康はとても気になる。

20代のときは他人ごとであった「人間ドック」というワードも、ここ数年ではなじみ深くなっている。

年に一回、自ら予約をし、前夜から食事を抜き、朝から病院へと向かうのだ。

20代では、どこか痛くなったり、体調が悪くなってから、ようやく重い腰を上げて向かった病院に、どこも痛くもかゆくもないのに自ら行くなんて、わたしも立派な大人になったのだと実感するのである。

人間ドックでは、体重身長といったものから、採血をしてもらったり、胃カメラで内部を診てもらうなど、お昼まで分刻みのスケジュールで動く。


人間ドック自体もなかなかおっくうではあるが、その中でもわたしが憂鬱なのが、前夜の食事と当日の朝である。

どういうことかと言うと、たしか20時以降の食事が禁止されているのと、朝もお水だけという決まりがあることだ。
検査前なので当たり前のことなのだが、「食べてはいけない」と言われると、なぜか逆にめちゃ食べたくなるのだ。


子供と一緒に18時台に夕飯を済ませるので、いつも通りでいいわけだが、だめと言われると、22時くらいに、無性になにか食べたくなってしまう。

このコラムにも書いたが、以前に断食を失敗したように、わたしは「禁止」にすこぶる弱いみたいだ。

とはいえ、検査なので我慢するのだが、布団に入ってもお腹が空いている気がして、眠れないのだ。

わたし史上もっともしょうもない不眠である。

ただ、そんなわたしに、人間ドック終わりにご褒美が待っているのだ。

なんなら、30%くらいは、これを楽しみに検査をしているような気がする。

それは、検査が終わったあと、病院から出される食事である。
もうね、これが本当に美味しい。
もちろん、空腹という最高のスパイスもあるが、食事自体が美味しく、普通にお弁当として販売してくれないかなといつも思う。



デザートまでペロリと平らげ、軽やかな足取りで病院を後にした。

後日送られてきた検査結果は
「異常なし」

うん、来年もまた、あの弁当を食べに人間ドックに行こうと思う。

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