先日、夫の実家に息子と二人でお世話になっていたときの話。
義父を見ると、いつも何かをノートに書いている。
何を書いたか聞いてみると、そのときそのとき、何が起こったかをメモっているそうだ。
その日の終わりに、日記を書くのは分かるが、わたしが見る限りでは、10分に一回のペースで何かを綴っている。
それももの凄く、丁寧な綺麗な字なのだ。
そして、とにかく本が好き。
歴史的な小説から松本清張さんなど、あらゆるものを読みあさっているそうだ。
いつも眼鏡やはたまた虫眼鏡をもって、文字を追っている姿を見るとなんだかほっこりする。
そんな義父に、先日、数冊の本と一枚の紙をもらった。
本は『格言の泉』という世界の歴史的人物の格言を集めたもの。
発行日を見ると昭和38年と記載されており、価格は200円。
匂いや装丁やら、なんだかタイムスリップしたかのような感覚だ。
「言葉をつかうお仕事だから、参考になるかな」
と渡された。
格言がぎゅっと詰まった本なので、一日一回どこかしらページをめくるととても面白い。
そして、その本に挟んであった一枚の紙。
そこには、手書きの26項目のひと言メモがあった。
1.自己啓発のポイントは謙虚に学ぶ姿勢である
2.仕事とは先手、先手と働きかけていくことで受け身でやるものではない
このようなお仕事に対する格言が羅列されている。
義父に聞くと、これは自分自身が何十年も働いて思ったこと、読んだ本や人から聞いた言葉を参考に書いたものであると。
すごい、すごすぎる。
しかも、これ自体も10年以上前に書いたもの。まず、それが残っているのが奇跡だ。
そして、どの言葉もなんというか生身の言葉で、ベストセラーの名言集とはまた違う、なにか義父の味のようなものが感じられた。
経験から出てくる言葉には説得力があり、なぜだか素直に聞ける。
そんな言葉たちが、このメモには詰まっている。
なんだかわたしだけが読むにはもったいないなぁ、と感じたのでここで発信してみた。
いつかは書籍化をもくろんでいる嫁なのである。
『格言の泉』
著者:堀場正夫
出版社:鶴書房