鬼の威力

最近のわたしの子育て事情を語る上で、お世話になりっぱなしの、あるお方。

鬼である。

きっと、大昔から存在するであろう鬼という、なんかわかんないけど異常に子供が怯える存在。

『ももたろう』などの、昔ばなしにも出てくる怖い鬼。



令和の今、鬼は、『鬼から電話』というスマホのアプリで活躍している。

アプリ内で実際に鬼に電話をして会話もでき
「今から家に行きましょうか?」
という、最高に怖い台詞を言ってくれる。

きっかけは、それを一度イヤイヤ期の息子に試してみたところ、効果絶大で、最終的に泣くのを通り越して、泣き笑いのようなリアクションをした。

鬼に気を遣っているかのような様子であった。

それ以降息子は、夜になるとベランダを指さし
「おにーーーーーーー」
「くわい(こわい)ーーーーーー」
と、叫ぶようになった。

何も悪いことをしてなくても、常に鬼に怯える生活。

あるときは、夜中に突然飛び起きてドアの方を指さし
「おにーーーーー」
と、寝ぼけながら言っていた。

きっと夢でも鬼が出てきたのだろう。

あるときは、テレビに映ったスパイダーマンを見て
「おにーーーーー」
スパイダーマンまで鬼の範囲にしてしまうと、結構目にする機会が増える。

わたしとしても、少しかわいそうになってしまい、鬼を使うのはやめようと思うのだけれど、歯を磨かない、着替えを嫌がるなど、時間が無い時などは鬼に頼ってしまう。

最近ではわたしが
「あっ鬼に電・・・」
と言ったくらいで突然愛想笑いをし
「もう全くご冗談を、すぐに着替えますから」
と言わんばかりに、言うことを聞き出す。

鬼さんありがたや、である。

そんな息子を見ながら、やはり人間というのは、ご褒美より罰ゲームの方が、やる気に繋がる生き物なのかしらと感じてしまう。

実際、大人になったわたしも仕事で、勝ったら高級ホテルに泊まれるより、負けたらバンジージャンプの方が、頑張るのだ。

悲しき生き物ではあるが、しょうがない。

できたら成功体験を積み重ねて生きていきたいものだが、それだけではないのも現実である。

なるべく鬼には頼らずとも、前向きな気持ちでできる工夫をしていきたい。
 

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