たまたまチョキ


最近の息子のブームの話。

保育園で教わったのか、じゃんけんの概念が分かり始めた息子。

「ぐーーーー」

「ぱーーーー」

までは勢いよく言うのだが、「チョキ」が難しいらしく、グーとパーだけで戦いに挑んでいる。

それはそれで愛らしいのだが、本人としては悔しいらしく、わたしにチョキの形を作れと指示をしてくる。

しかしあるとき、「これなに?」と指を差したとき、その手がたまたまチョキに。

一瞬、自分の指を見てフリーズした後。

「ちょきーーーーーーーーー!!!」
と大興奮。

あまりの嬉しさに、しばらくの間、チョキのまま過ごしていた。

それからというもの、たまたまチョキができることが増えた。

そのたびに
「ちょきーーーーーーーー」
と言い、わざわざ見せに来てくれる。

これが俗に言う、成功体験というものであろうか。
少し違う気もするが、本人は大喜びなので、こちらも大いに褒める。

そして、その姿を見ていると、なんだかとても羨ましくなった。

大人になると、自分が取り組んでいることに対して、「できる」「できた」と感じることが少なくなる。
そうして、自分ができそうにないことは避けがちになる。

それも効率的に生きるには必要な方法だけれど、ひたすらチョキの練習をしている息子を見ていると、人間の本質みたいなものを感じる。

わたしもできる限り、「できたーー」と興奮できるようなことに、足を突っ込んでいきたいと思う。

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